カウンセリングの流れ

そもそも、カウンセリングって何?
どんな話をしてるの?
どんな効果があるの?

 

そんなことを思ったことはありませんか?

 

「カウンセリングという名前は聞くけど、実際は何をやってるの?」
そんなご質問をよく伺います。

 

カウンセリングの認知度は、年々高まっています。
でも、具体的に何をやっているのか、を知る機会はありません。

 

そのため
「使ってみたいけれど、どんなことをやってるのかわからなくて、ずっと尻込みしていた」
というお話をよく伺います。

 

今回は、面談カウンセリングに初めてこられた方と、カウンセラーがどんなやり取りをしているのか、について具体的に説明していきます。

カウンセリングの実際

(1)カウンセリング・ルームに到着して

初めて面談カウンセリングにこられた、池尾花子さん。
私が最初に一番最初に伺うのは「緊張されてませんか?」という言葉。
なぜなら、ほとんどの方が「緊張」されているからです。
初めてですから、当たり前ですよね。
カウンセリングルームでは、お飲み物をご用意しています。
最初は、花子さんにご希望の飲み物を伺って、それをお出しして飲んでいただき、まずは一息入れていただきます。

(2)ご相談を伺っていきます

 

少し落ち着いたところで、花子さんの具体的なご相談内容をお話いただきます。
「何から話せばいいかわからないのですが・・・」そう言われる花子さん
「思いつくままで大丈夫ですよ」とお伝えします。
カウンセリングでは、何から何まで、包み隠さず話をしなければならないのではないか、と思っておられる方もいます。
まるで刑事ドラマの取り調べみたいなイメージがあるみたいなんですね。
そんなことは、全くありません。
カウンセラーは、いろいろな質問をさせていただきますが、「話したくないことは、話す必要はない」のです。
話せる範囲で、自分のペースでお話いただいています。
とても緊張されていた花子さん。
「生で動いている僕を見て、どう感じますか?」
「初めてお会いするお客さまに『池尾死ね!』って毒づかれるキャラなんですよ~。
 どうやら何話しても、怒っても大丈夫って思われるらしくって(笑)」
なんてお話をしていくと、少し笑ってくださり、最初の緊張は和らいできたよう。

 

そこで、小さな声で、話にくそうに、お話を始めてくださいました。

 

話にくいのは、当然です。
ご相談内容は「夫の浮気」でした。
「本当にこのテーマのご相談、たくさん伺うんですよ~」
「10人連続で同じテーマだったこともあるんですよ」
そんなお話をさせていただくと、驚かれるのと同時に、少し安心もされます。
話題が浮気だと、仲のいい友達にも話がしにくい。
ずっと一人で抱えてこられている方も多い。
すると、まるで世界で自分だけがこんな風に悩んでいるような感覚になっていきます。
カウンセリングを「わざわざ使う」ほど、私は病んでいるの?と、私はダメな人間になってしまったの?
そんな風に感じておられる方もいます。
他にもたくさん、自分と同じ悩みを抱え、それをこうしてカウセリングで相談している人がいる。
しかも、カウンセリングで夫婦の危機を乗り越えられた事例がたくさんある。
このお話を聞かれただけで、ほっとされる方も多いのですね。

(3)まず、今まで溜め込んできた思いを話してもらう

「主人が浮気をしていることがわかって半年。
 彼はとても反省して、二度としないと言っています。
 でも、どうしても許せないんです。
 頭では許したいと思うんです。
 でも、夫の顔を見る度に、夫を責めてしまう。
 どうしたら主人を許せるようになるでしょう。」

 

花子さんは、震えながら、小さな声で、そう話を始められました。

 

「この話、誰かに相談されたことはありますか?」と私。

 

首を横に振る花子さん。

 

「本当にこの半年、辛かったですよね。
 どれくらい、我慢して辛かったか、感じることができますか?」

 

そう私が質問しても、「わかりません」と答えられる花子さん。

 

人は、本当に辛いことがある時、我慢をしすぎてしまった時。
感情を感じると辛すぎるので、心が感じられなくなってしまう場合があります。

 

そんな時は、この半年間の出来事について、具体的にお話いただいたり、
一番辛かった時のエピソードを語っていただいたりします。

 

花子さんは、少しずつ、この半年のことをお話くださいました。

 

『初めて浮気が発覚した時の話。
夫の部屋のゴミ箱から出て来た、ホテルの領収書。
「悪いとは知りながら」思わず机の中を探して見つけた、誰かとの写真。
どれだけショックだったか。

 

夫に切り出せなくて、一ヶ月我慢し続けたこと。
なのに、いつもと変わらない態度で接してくる夫。
それが耐えきれなくて、ある時、ホテルの領収書を突きつけてしまった。

 

許せないのは夫が嘘をついたこと。浮気を認めてくれなかったこと。
会社の歓送迎会で使ったホテルのレストラン。
飲み過ぎて帰れなくて、そのままホテルに泊まったんだ、と夫。

 

あの日は、出張だっていってたくせに。

 

仕方がないから、見つけた写真を見せる。

 

顔色が変わる夫。
なのに、まだ言い訳。
みんなでレストランで撮り合った写真の一枚だ。
他のみんなと撮った写真もあるはずだ。どこだったかな?なんて言う。
馬鹿みたい。

 

私、そのレストランに電話して聞いたのよ。
写真に壁にかけられてる絵がどこにあるのかって。
レストランにはないんですってね、その絵。
私も思わずついてしまった嘘。
そんな電話なんかかけてないのに。

 

また顔色が変わる夫。
やっと認めてくれた。

 

なぜ、すぐに認めてくれなかったのか。
すぐにバレる嘘なのに。

 

そこで細かく追求しなければよかったのに。
どこへ行って、何回会って、どうしてそんな風になったのか。

 

平謝りの夫。
謝られても、謝られても、どんどん冷めていく私の心。

 

翌日から、夫は仕事の帰宅時間が早くなった。
気を使って、優しい態度で接してくる。

 

その度に、夫を責めてしまう私。
シュンとして、黙ってしまう夫。
すると、よけいに夫を責め続けてしまう私。

 

その繰り返しの半年でした』

 

静かに、少しずつ、でも段々と思いがこもった半年間の話を語ってくださる花子さん。

 

花子さんの半年間のお話は、気が付けば、1時間を超えていました。

(4)感情を感じられるようになる

こんな風に、この半年のお話を伺っていくと、ようやく、今までの「感情」が少しづつ、戻ってきます。
ここまでは、表面的に溜まっていた気持ちを出す作業。
ようやく「本当の自分の気持ちや苦しみ」を発見するステージに入っていきます。
私はもう一度、同じ言葉を投げかけまます。
「本当にこの半年、辛かったですよね。
 どれくらい、我慢して辛かったか、感じることができますか?」
すると、花子さんの目に涙が浮かんできました。
「花子さん、あなたがこの半年、責め続けたのは誰だと思いますか?」と私。
花子さんは「ですから、夫が許せなくて、夫を責め続けてるって言ってるじゃないですか」
そう、静かに、けれど、初めて怒った顔を見せて、私に言われます。
「違いますよ。あなたが責め続けているのは『あなた自身』です。
 許せないのは『あなた自身』です。
 謝っている夫を毎日、責め続けてしまう、そんな自分のことが許せないんです。
 今、一番苦しいのは、あなた自身への『自己攻撃』なんですよ。」
さらに、私は続けます。
「今、やっと感じられているんです。
 あなたが、どれくらい自分をせめて続けてきたか。
 その苦しみを、どれくらい我慢し続けてきたか。
 まずは、この思いを吐き出していくこと。
 そうしないと、具体的な夫婦の修復の方法をお話できても、それを受け止めて、実行に移すだけの心の余裕が生まれないんです。」
「よく我慢してきたね、偉いねって自分をほめてあげられますか?」
そう私が話をしても、首を横に振られます。
「こんなに主人を責め続けた自分を、ほめることなんてできません。」

 

「でも、あきらめなかったですよね。
 悪いのはご主人です。すぐに離婚を考えてもよかったでしょう?
 なのに、この半年、ずっと苦しんできたのは、どうしてなんでしょう。
 あきらめなかったんです。
 それでも、なんとかしたかったんです。
 今日、面談カウンセリングに来られるのに、どれくらい勇気が必要だったか、わかりますか?
 それでも、予約センターに電話をかけて、わざわざ、僕に会いにきてくださったんです。
 そんな自分をほめてあげてもいいでしょう?」

 

私がそうお話すると、花子さんの目から、涙が止めどなくあふれてきました。

 

「今日は語れなかった思いが、まだまだたくさんあると思います。
 まずは、あなたの苦しい思いを、僕にぶつけに来てください。
 そうして、やっと、あなたの心に少しの余裕ができます。
 その余裕が、ご主人を責めない気持ちを生んでいきます。」

 

花子さんは、泣くときも静かな方でした。
ただ、ただ、静かに泣き続けられました。

(5)カウンセリングを終えて、その効果は・・・

しばらくしてから、顔を上げられたA子さん。
私はこんな言葉をなげかけます。
「面談カウンセリングに来る前と今では、違いがありますか?
 少しは楽になれましたか?」
「とてもすっきりしました。
 こんなに楽な感じになったのは、本当に久しぶりです。」
そして、続けて、こんな話をしてくださいました。
「私は今まで生きてきて、怒りを誰かにぶつけたことはありませんでした。
 主人にだって、今回のことが起こるまでは、怒ったりできなかった。
 でも、池尾さんは違いました。
 最初に言われましたよね。
 『池尾死ね!』って毒づかれるキャラだって。
 あれ、本当なんですね。
 池尾さんと話をしてると、本当に何を話しても大丈夫な気持ちになって、
 そんなつもりはなかったのに、うっかり怒りをぶつけてしまいました。」
そう、笑顔で言われたのです。
「また、怒りにきてくださいね。
 それだけでも、ご主人への攻撃は減ると思いますよ。
 ご主人に対して怒りが出て来たら「これは自己攻撃らしい」って思ってください。
 そうすると、ご主人に怒りが向きにくくなります。
 それから、また池尾に怒りをぶつけに行こう!って思ったらいいじゃないですか。」
私がそう、お話すると、
「そうですね。また思いをぶつけに来ます。」
花子さんは、そう笑って言われ、来た時よりも元気を取り戻して、ルームを後にされました。

(6)初回カウンセリング後の問題解決までの道筋

面談カウンセリングは、ケースバイケース、いろんなパターンがあります。
その中の典型的なひとつのケースとして、「思いをまず、ぶつけてもらう」というお話を書かせていただきました。
今回のケースでいえば、次回以降の面談カウンセリングでは、例えば、こんなプロセス進んでいきます。
・夫が浮気をした理由は何か。その男性心理を解説。
・夫だけに原因があるのか。
 実は、浮気をするずっと前、例えば、新婚時代のすれ違い、出産時のすれ違いなど、過去に原因がある場合が多い。
・誰に対しても怒れない、という性格が、二人の距離を遠くしている可能性がある。
 どうしてそんなに感情を飲み込んでしまうのか、そのルーツを探る。
・感情表現が今よりできるようになると、自分も楽だし、相手も楽。
 コミュニケーションが取りやすくなると、夫婦の距離も縮まりやすい。

 

こうした視点で、心理分析で状況やお互いの気持ちを理解していきます。

 

時には心理療法(セラピー)などを使って、感情を感じる練習をしていきます。

 

最終的には「感情を表現できる自分」になっていく、という、夫婦の話から、自分のキャラクターを変えていくところまでいかれる方も多いのです。

 

今回は、初回の面談カウンセリングでよくあるケースとしてご紹介した例ですが、カウンセリングはこんな風に進めていきます。

 

あなたの心を軽くするために、また、よりよい夫婦・恋人関係のために、何より、自分らしく幸せな人生を歩むために。

 

カウンセリングをご利用いただけたらと思います。

 

<カウンセリングのスケジュールとご予約方法>

 

◎カウンセリングの実際については、以下の連載記事をご覧ください。

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