【連載ブログ】夫婦のラブ・クリニック~二人のすれ違い、どうしたらいいの?~(3)


カウンセリングで伺うお話の中で、「離婚」「浮気」「セックスレス」「心のすれ違い」など、夫婦問題についてのご相談は、とても多くなっています。

こうした夫婦問題の解決に役立つヒントをお届けする連載、その3回目をお届けします。



◎自分のことがわからないほど、心が一杯一杯の時

カウンセリングの門を叩かれ、一番最初にお話させていただいた時、このひとつめの「自分のことがわからないほど、一杯一杯」である状態の方がとても多いです。

考えてみれば、それは当たり前ですよね。
今の状態が苦しいから、カウンセリングを使ってくださるわけで、しかも、ずっと我慢を重ねて、重ねて、やっとの思いでご相談くださる方もおられます。

そんな時は、本当に心が一杯一杯で、あふれんばかりの状態であることが多くなってくると思うのです。

それは、心をコップに例えれば、水があふれんばかりに一杯の状態と同じです。

こんなに一杯一杯の状態では、どんな名案やアイディアや提案を聞いても、それを心に入れることすらできません

そんな時には、「まず、この一杯一杯の心の状態を、やわらげることから初めていきましょう」とお話させていただきます。

この言葉をかけさせていただくだけで、涙を流される方がおられるほどです。
それくらい、心が一杯一杯な状態であることもあるのですね。

夫婦問題は、誰かに相談しにくい、という側面があります。
そうすると、どうしても、自分一人の心の中で処理していこうと思い、その結果、苦しみを我慢して、言いたい言葉も我慢して、心が一杯一杯になっていきやすいのです。

◎苦しすぎて、心が麻痺して感じられなくなる時

また、あまりに心が一杯一杯だと、心が麻痺して、何も感じなくなっている場合もあります。
心は自己防衛本能を持っていますので、あまりに苦しいと、麻痺させて、感じなくなってしまいます。

そうすると、カウンセリングでお話していても、本当に冷静に、淡々とお話になり、苦しい、悲しい
という感情を感じていないと言われる方もおられます。

例えば、ご主人が浮気をして、離婚しようと思っている、という相談をお話された方がおられたとします。
その方は、夫の浮気については、特に何も感じていない。
しょうがない奴だ、とは思うけど、恨みつらみは特にない。ちょっと他人事のようにお話されます。
どうやったら、円満に離婚できるかを相談にきたのだ、と言われたとします。

一見すると、辛い、苦しい、悲しいといった感情や、怒り、恨みつらみを感じていない、冷静な対応をされているように思えます。
そして、こうしたケースでは、ご本人が自分は冷静に対応できている、と感じておられる場合もあります。

ところが、順番に順番に、お話を伺って、結婚した馴れ初めから、子育て、今に至るお話を伺っていく中で、段々と、麻痺していた気持ちがよみがえってくることがあります。

こうした方は、本当に我慢強くて、誰にも弱音を吐けず、一人でがんばってこられた方が多いのですね。

ですから、

「今までの自分に、よくがんばったね、と言ってあげていただけますか?」

と言ったお話をさせていただきます。

すると、思い出してくるのですね。

新婚時代にどんな風に大変だったか。
子どもを産んだ時、どんなに大変だったか。
子育ての時、どんなに大変だったか。

誰にも頼れず、子どもを育て、夫を支え、がんばってきた私。

そこに気がついた時、感情がよみがえってきます。

「本当に私はがんばってきた。なのに、どうして今、夫が浮気をしてしまったのだろう」

自分の中にある、本当の気持ちに気がついた瞬間、大粒の涙を流されることになる。
そんな場面に、何度も出会って来ました。

それがきっかけで、心が次の展開を迎えていくことも、しばしば訪れます。

あなたは、今、一杯一杯ではありませんか?
例え、自覚がなくとも、もしかしたら、と思い当たることがあるなら。

ご自身の本当の気持ちを知ろうと思ってみてください。

それが、問題を解決していく入口になることも多いのです。

☆(4)へ続く>>>「実は『選択することができない』こと」

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