【連載ブログ】夫婦のラブ・クリニック~二人のすれ違い、どうしたらいいの?~(4)


カウンセリングで伺うお話の中で、「離婚」「浮気」「セックスレス」「心のすれ違い」など、夫婦問題についてのご相談は、とても多くなっています。

こうした夫婦問題の解決に役立つヒントをお届けする連載、その4回目をお届けします。



◎離婚問題の「二つの選択肢」

離婚問題のご相談を受ける時。
様々なケースがあるのですが、大きく分けると
そのご相談内容は、

・夫もしくは妻から、離婚して欲しいと言われている。

・自分が離婚したいと思っている。

この二つである、と言えるのではないかと思います。

もっと簡単に言えば、

・「別れたい」と思っている

・「別れたくない」と思っている

ということに集約されるでしょう。

離婚問題で悩んでいるのだから、それは当たり前とも言えますよね。

こうした場合、

自分は「別れたい」あるいは「別れたくない」と思っているのに
いろいろな事情から、それが叶わなくて悩んでいる

というご相談になってきます。

いろいろな事情というのは、ケースバイケースですが

・相手が納得してくれない
・状況が許さない(経済的な理由、子どもがいる)

こちらも、この二つに集約できるように思います。

つまり、カウンセリングで伺うお話は

「私は決めているのに、相手が納得してくれない」
「私は決めているのに、状況が許さない」

ということです。

実際に、こうした問題解決のためにカウンセリングを使ってくださる場合は、

私の中では選択できているのに、理由や事情があって、それを実行に移せない。
その理由や事情をなんとかできないものか。

というご相談になってきます。

ところが、この「私の中では選択できている」と思っている時。

実は「選択することができない」ということが、本当の気持ちであることがあるのです。

◎実は「選択することができない」ということ

離婚問題は、浮気がきっかけになるケースが多くみられます。

例えば、こんなケースです。

夫が浮気をした。
絶対に許せない。
すぐにでも離婚したいのに、夫がうんと言わない。
どうしたら夫に納得させられるでしょう。

そうしたご相談があったとします。

表面的には、ご相談くださった方の心は「離婚」することが決まっています。
問題の焦点は、「夫が納得しない」ことをどう変えるか、ということです。

最初は、この「夫が納得するための方法」について、お話をしていきます。
まずは、「なぜ、夫は納得してくれないのか」。
状況の整理や、こうした時の男性心理について、お話していきます。

そして、次に伺うお話は
「これまで、どれほど大変だったか。どれほど傷ついたか」というお話。

こうしたお話を、カウンセリングでじっくり伺っていきます。

すると、たくさんの思いをお話いただき、気持ちが整理していく中で、当初とは違った、本当の気持ちが見えてくることがあります。

実は、「離婚したい」わけではなく、許せないという思いが「離婚」と言わせている。

本当は「離婚したい」と思っていなのかもしれない、という気持ちに行き着く事があるのです。

逆に、夫から強く「離婚」を迫られている場合もあります。
でも、私は離婚してくない。
夫に離婚を思いとどまらせるにはどうしたらいいの?
という悩みをご相談された場合。

そうした場合、表面的に感じているのは、もちろん「離婚したくない」という気持ちです。

ところが、先の例のように、様々なお話を伺い、相手の心理分析をし、カウンセリングが進んでいくと、本当に私は「離婚したくない」のだろうか?という気持ちに行き着くこともあるのです。

もう少し言えば、「今のまま、この人と結婚生活を始めても、うまくいくのだろうか」という気持ちに行き着く、ということなのですね。

離婚を迫られている場合で、私は離婚したくないと強く願っていても、実は「相手がこのままの性格や言動や振る舞いのままなら、やっていけない」という思いが隠れていることがあります。

今は、目の前にある、「離婚を迫られている」問題で、心が一杯一杯なのです。
これをどう回避するか、に心は全力を傾けていることが多いので、ある意味、深く自分の気持ちがわからないのは、当たり前だと思うのですね。

でも、こうした切り口で整理していくと、単純に「離婚したくない」わけではない、という自分の気持ちを知ることになったりします。

「別れたい」「別れたくない」どちらのケースにしても、今、表面的に感じている気持ちが、本当の気持ちとは限りません。

カウンセリングの中で整理を進めていくと、むしろ、本当の気持ちが別にあることのほうが多いのです。

では、本当の気持ちとは何なのでしょう。

それは、「どうしたらいいのか、わからない」という思い。

表面的に、「別れたい」「別れたくない」とはっきり決めていると思っていても、実は、

「どちらにしていいのか、わからない」

というのが、本当の気持ちであることが多いのです。

選択しているようで、実は「選択できない」ことを悩み、苦しんでいるのです。

もし、今、あなたが誰かと「別れたい」「別れたくない」と悩んでいるとしたら、

実は、「どうしたらいいのかわかない」ことが苦しいのではないか。

そう、自分の心に問いかけてみてください。

☆(5)へ続く>>>「私たちは『わからない』ことが一番辛い。」

☆この連載の目次に戻る>>>こちらへ

【池尾昌紀・池尾千里による「カップル・カウンセリング」のご案内】
詳しくは>>>こちらをご覧ください

タイトルとURLをコピーしました