カウンセリングで伺うお話の中で、「離婚」「浮気」「セックスレス」「心のすれ違い」など、夫婦問題についてのご相談は、とても多くなっています。
こうした夫婦問題の解決に役立つヒントをお届けする連載、その5回目をお届けします。
◎私たちは「わからない」ことが一番辛い。
離婚など夫婦の「別れ」についてで悩んでいる時。
「別れたい」もしくは「別れたくない」と私は決めているのに、相手や状況が変わらないことで悩んでいる場合でも、相手や状況ではなく、実は、自分の気持ちが決められていないのかもしれない、というお話を書かせていただきました。
「別れたい」あるいは「別れたくない」のではなく、「わからない」ことで悩んでいることが多いのです。
(前回の記事は、コチラへ>>>「実は『選択することができない』こと」)
「わからない」苦しみについてのお話は、その2でも書かせていただきました。(>>>「その2」はこちらをご覧ください。)
「わからない」時の二つの要素。
1.自分のことがわからないほど、一杯一杯であるということ。
2.自分では気がついていない、自分自身の思いが、また、相手の思いがあるということ。
その4と、今回書かせていただいているのは、この2番目の要素になります。
例えば、離婚をのぞんでいる場合。
もし、本当に離婚したいと思っているのなら、カウンセリングを使うのではなく、弁護士のところや裁判所に行っているはずなんですね。
ところが、カウンセリングを使ってくださるということは、「離婚を決めている」つもりでも、「本当に離婚していいのか」とか、「どうしたらいいかわからない」と思っていることが多いのです。
「どうしたらいいかわからない」時、多くは、心理的なやり残しがあると感じているようです。
まずは、「相手の気持ちが、わからない」
そして、「自分の気持ちが、わからない」
だから、「どうしたらいいか、わからない」
この「わからない」まま、「別れる」「別れない」を決めようとすると、心が納得してくれません。
私たちの心は、「わからない」時が一番苦しくなります。
そして、心が「わからない」時は、どう行動していいか、心持ちをどこに向けていけばいいか、わかりません。
この、心の方向性を持てないことが、とても辛いのです。
私たちは、心が苦しい時、まるで真っ暗闇の中にいるような気持ちになります。
身動きが取れない、どこにいるのかわからない。
そうした時、心は本当に苦しくなります。
でも、その闇のどこかに、わずかでも光が見えたら。
わずかな光でも、まず、そこに向かっていこうと思えます。
その時、わずかでも、方向性を持つ事ができる。
わずかでも、心が動き出す。
それだけで、心は、本当に楽になるのです。
ですから、まず、自分が「わからない」ことで苦しんでいることに気がつくこと。
そして、「わからない」思いを整理して、知っていこうと思うこと。
それだけでも、心はとても楽になります。
「わからない」ことがわかったのだから。
そして、「わからない」ことを、「知っていこう」という、方向性を持つ事ができるから。
遠回りのようですが、「別れる」「別れない」という答えは、この「わからない」ことを整理して、知っていくことで、「わかる」ものだと思います。
苦しみの中で、カウンセリングの門を叩いてくださり、
じっくりお話を伺い、その中でこのお話をさせていただくと、
それだけで、心が楽になった、と言われることが多いのですね。
今は、「別れる」「別れない」という、答えが出なくてもいい。
ただ、「わからない」ことを知り、「その気持ちを知ろう」と思ってみてください。
その気持ちを知るために、まずは、今の心の整理をするところから始めてみてください。
そもそも心に余裕がないことが多いですから、
相手の気持ちを、そして何より、自分の気持ちを整理して知るのは、難しいかもしれません。
そんな時は、誰かに手伝ってもらいましょう。
友人、家族、あるいはカウンセリングをご利用くださってもいいと思います。
ただ、話を聞いてもらうだけで、心の整理ができるだけで、楽になることも多いのです。
☆(6)へ続く>>>「1日、たった5分でいいから心を休ませる」
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