【連載ブログ】夫婦のラブ・クリニック~二人のすれ違い、どうしたらいいの?~(2)


カウンセリングで伺うお話の中で、「離婚」「浮気」「セックスレス」「心のすれ違い」など、夫婦問題についてのご相談は、とても多くなっています。

こうした夫婦問題の解決に役立つヒントをお届けする連載、その2回目をお届けします。


◎あなたは、本当に「あきらめて」しまったのですか?

前回は、夫婦のコミュニケーションについて、簡単に触れさせていただきました。
(前回の記事は、こちらをご覧ください。)

この時点で、「私達の夫婦には、コミュニケーションなんて無理だ」と思われる方がおられるかもしれません。

カウンセリングでお話を伺っている中で、こと夫婦のコミュニケーションについての話題に及ぶと、「無理です」「不可能です」という言葉が、クライアントさんの口から出てくることがあります。

何度も何度も試してみたけど無理だった。
あるいは、試すような力が残っていない。

これは「あきらめ」の感情なんですね。

「あきらめ」の感情は、これまでに、たくさんの努力と我慢と、そして傷ついた体験から感じるようになるものです。

もう一度、そこにチャレンジしていくのは、確かに大変かもしれません。

でも、あきらめる前にまだやることがあるかもしれないのです。

カウンセリングの中で、こうした「あきらめ」の話に及んだ時、クライアントさんに、私は、こうお話しています。

「本当にあきらめているのなら、カウンセリングを使わなかったのではないですか?」

この記事を読んでくださっている方も、同じではないかと思うのです。

本当にあきらめているのなら、この記事そのものを読もうとは思わないはずなんです。

もし、あきらめていないとしたら、それはどうしてなんでしょう。
どんな思いがあるからなのでしょう。
時には、あなたが気がついていない思いが隠れているのかもしれません。

カウンセリングを受けてくださった方の中には、最初は、この「あきらめ」の思いから始まるかたが、たくさんおられます。
でも、カウンセリングで、心の整理や具体的なアプローチによって、夫婦関係が変わり、コミュニケーションが変わっていった方が、たくさんおられます。

私は、そうした経験から、「あきらめる」前にやっておくといいこと、があることを確信するようになりました。

今、あなたが願っている結果が出ないかもしれません。
例えば、離婚したくないと願っていたのに、結果は離婚だった。そうしたこともあるかもしれません。

けれど、「心にやり残しを持ったまま」よりも、「心のやり残しをやり切った」ほうが、今より楽になりますし、幸せな気持ちを感じられるようになっているはずです。

別の言い方をすれば、「自分の心が納得できるか」ということになるでしょう。

あなたは、まだ、「あきらめ」ていないのではありませんか?
あきらめる前にやるべきことがあると思っているのではありませんか?

もしそうなら、勇気を持って、その気持ちに向き合ってみようと思ってみてください。

その勇気が、変化をもたらしていく大きな力になるのだと思うのです。

◎私達は「わからない」時、苦しいと感じるようです。

夫婦問題で苦しんでいる時、私達はもちろん、目の前の問題で悩み苦しんでいるわけですが、実は、一番の苦しみは「自分の気持ちがわからない」「自分が何で一番苦しんでいるのかわからない」ということが、あげられます。

ひとつには、自分のことがわからないほど、一杯一杯であるということ。
もうひとつは、自分では気がついていない、自分自身の思いが、また、相手の思いがあるということ。

この二つが、「わからない」という苦しみを引き起こしているようです。

人が一番苦しいのは、「わからない」という状態の時です。
具体的に苦しみの中身が、あるいは、自分の感情に気がつくことができたら、それだけで、心は楽になります。

これは、身体の不調がある時、その病名がわかっただけで、すっきりすることに似ています。
例えば、身体がだるく、熱があるのに、どの病院にいっても病名がわからない時。
だるくて、熱がある、という目の前の症状が苦しいのは当然ですよね。
でも、どうしてその症状が出るのか、どんな病気なのか、がわからないと、それだけで不安になったり、すっきりしなかったりします。

それが、検査が初期すぎて引っかからなかったけど、次に検査したら「インフルエンザ」だった、とか、わかったとたんに、「ああ、そうだったのか」と安心できたり、すっきりすることがありませんか?

これは、心が「納得」できたからなんですね。

また、それがわかれば、対処方法がわかります。

もちろん、心も身体も、そんなに簡単なものではありませんが、心については、心理的な視点で整理することで、相手や、自分の心の状態を知ることができ、そのことだけで、楽になることがあります。

私達は、わかっているようで、相手の心理も、自分の心理も、わかっていないことが多いようなのです。
(続く)

☆(3)へ続く>>>「自分のことがわからないほど、心が一杯一杯の時」

☆この連載の目次に戻る>>>こちらへ

【池尾昌紀・池尾千里による「カップル・カウンセリング」のご案内】
詳しくは>>>こちらをご覧ください

タイトルとURLをコピーしました