【連載ブログ】カウンセリングの実際 ~幸せなパートナーシップへの道~
<その11:子どもを授かる>
ところで、問題を自覚していなかった僕たち夫婦にも具体的な問題はありました。
それは、結婚して7年経っても子どもができなかったことでした。
両方の両親も、最初は期待していましたが、7年も経つと逆に僕たちに気を使って何も言わなくなっていました。
実は、奥さんはずっと子どもが欲しいと思っていたんですが、僕はできなければそれでいいと思っていたのです。
私たちは、自分が子ども時代に傷ついた分だけ、子どもを持つことに怖れを持ちます。
あるいは、子育てに苦労をしてきた親の姿をみて育つと、そんなふうになりたくないと思います。
例え、子どもが欲しいと表面意識では思っていても、こうした思いが潜在意識に眠っていると、現実に子どもができないという形で現れることがあります。
以前に書きました、「欲しいもの」が手に入らないのは「欲しくない」と思っているからという話のとおりです。
結婚したいのに出来ない、恋人ができない、本当にしたい仕事が見つからないというのも同じ原理であると言えます。
あらゆる問題の原点は、この心理的なブロックにあるのです。
僕の場合でいえば、深層心理では、自分が愛されなかった苦しみと同じ苦しみを子どもに与えてしまう、また、愛される価値がない自分の子どもは、また、価値がない人間であるようにも思っていたのです。
そんな僕が子どもを欲しいと思えるはずがありません。
しかしながら、僕は、カウンセリングを続ける中で、自分の隠された感情と向き合い、両親との誤解を解くことで奥さんと近づいて愛し合うことが自分の本当の望みであることを知り、また、愛されてもいい、愛してもいいという、いってみれば心の許可を得ることができました。
そして、それは子ども時代の自らの傷が癒される過程そのものだったのです。
そうして僕は、子どもを持つ事が怖くなくなっていき、愛される価値がある自分なら、子どもがいてもいいかもしれないと思えるようになりました。
すると、この体験後すぐに、あれだけできなかった子どもを授かることができたのです。
「人の心は本当は素直で、何も障害がなければ望み通りになる」とも表現されますが、幸せになることを阻んでいた心のブロックは、夫婦の絆を取り戻し、戻ってきた愛情は、そのまま、子どもを授かるという形で戻ってきたのです。
僕たち夫婦がカウンセリングからもらった宝物は、この子どもを授かったことにつきます。
子どもを授かったことは、両親への最大の恩返しになりました。
僕たち自身が喜んだことはもちろん、一番喜んでくれたのは両親だったからです。
両親からの愛の誤解が解け、恨みつらみを許し、最後には感謝の気持ちを持つ事が出来た。
この感謝の気持ちは、子どもという形で戻ってきました。
孫の誕生は、何よりの親孝行にもなったのです。
すると、今まで僕以外の家族同士にもあった家族の間の距離がどんどん縮まっていきました。
兄弟とその家族と両親が一緒に集まって過ごす時間が増えていったのです。
実家の家族の絆もどんどん戻っていくことになりました。
(12)ビジョンを描く(1) へ続く
* * * * * * *
【池尾昌紀・池尾千里による「カップル・カウンセリング」のご案内】
詳しくは>>>こちらをご覧ください