【連載ブログ】カウンセリングの実際 ~幸せなパートナーシップへの道~
<その10>ブロックを取り除く:誤解を解く/許す(2)
頭で理解し、心で腑に落ちる。この「腑に落ちる」感覚があって初めて頭と心がつながり、一致します。
当時の僕のように感情を感じることがうまくできなかったタイプ(→「(その6)感情を感じる」参照ください。)には、このセラピーを使った手法が「腑に落ちる」ことを大きく助けてくれました。
すると、昔のことをいろいろと思い返すようになりました。
僕の両親に対する思い出は、「朝起きるといつも寝ている」というものでした。
両親は、自営でしかも夜が忙しい仕事だったために、毎日、日曜日でも朝は起きるのが遅かったのです。
それが、かまってもらえない、愛されていないと思い込んでしまった理由のひとつと気がつきました。
けれども、それは子どもの生活リズムとずれていたから、いつもほったらかしで寝てばかりいると感じていただけで、考えてみれば、深夜まで働き、朝は遅めとはいえすぐに起きだして仕事の準備をして、また深 夜まで働くというサイクルを続けていたのではないかと思い当たりました。
改めて確認してみたところ、両親はほとんど睡眠時間を取らずに働いていた事実がわかりました。
そこまで身を粉にして自分たちのために働いてくれたのか。そのことに気がつくと、本当に両親が大変だったことや、実は本当は愛されていたのだという思いがこみ上げてきました。
涙が溢れてきて、両親の愛情を強く感じたのです。
誤解が解け、許しが起こったのでした。
「両親に本当は愛されていた」思いは「自分は誰からも愛されていい」ということ、そして「そんな自分は思うまま誰かを愛してもいい」そう思えるようになったのです。
ブロックが外れていったのです。
その時、僕の心の中では次の変化が起こっていました。
それでは、今、誰に愛されたい?。そして誰を愛したい?
そうです。もう迷う事はありませんでした。答えは奥さんだったからです。
この思いに行き着いた時、長年積み重ねてきた奥さんとの距離が、知らぬ間に縮まっているのに気がつきました。
「(その3)僕たち夫婦の恋愛観」で書きました、まるで二つの無人島にいるかのような、僕たち夫婦。
そうした遠く離れた無人島にいたはずだったのに、その島は目の前にあるのです。
「愛される価値がない」「愛されるはずがない」という思いが作った大きな海は、その存在意味を失ってしまったのです。
かわりに生まれた「本当は愛されていたのだ」だから「自分は愛されてもいいんだ、愛してもいいんだ」という思いが、島を動かし近づけたのです。
その時、僕は心の底から知ったのです。
奥さんのことをこんなにも愛していたのだということを。
彼女もまた、僕のことを愛してくれていたということを。
そして、本当にしたかったことは、こうして近づいて愛し合うことだった、ということを。
(11)子どもを授かる へ続く
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