カウンセリングの実際 ~幸せなパートナーシップへの道~(その7)

【連載ブログ】カウンセリングの実際 ~幸せなパートナーシップへの道~(その7)

<一人でやらなくていい>

長い間、感情を感じることを禁止してきた僕にとっては、「感情を感じる」ことは、とても怖いことでしたし、かなり勇気がいるものでした。

実際、なかなか感情を感じることができず、また、今まで感じることを怖れてふたをしてきた思いや過去の傷などに向き合っていく作業は、時に苦しみを生むものです。

カウンセリングを受けてきて、当初よりは、明らかによくなってきていることがわかっても、かえってそれが苦しなり、カウンセリングに行く事が辛くなったこともありました。

そんな時にカウンセラーが言ってくれたのは、あせらず自分のペースでやっていけばいいということと、「一人でやらなくていい」という言葉でした。

「一人でやらなくてもいいんですよ。苦しい時は苦しいって思ったり言ったりしていいんです」と言ってくれたのです。

一般的に、男女を問わず、自立的な人ほど自分が抱えている悩みは一人で処理しなければならず、誰かに頼ってはいけない、と考えています。

典型的な期待に応える長男の役割を担っていた僕は、あらゆることに我慢してきました。

仕事も人間関係も夫婦関係も。

当時の僕は、まさにその状態だったのです。

そんな時にこの言葉をかけてくれたのです。

さらに、「やり方はまずかったかもしれない。でも、傷つきながら一生懸命やってきたのだ、と今までの自分を認めてあげましょう。」と言ってくれました。

心理学でいう「自己承認」と呼ばれるものでした。

カウンセリングを始めた当初は、誰もが苦しみのまっただ中にいることが多く、心の余裕がありません。

そんな時こそ、こんなになるまで我慢してがんばってきた自分を褒めてあげる。認めてあげる。

長い間培ってきた我慢するやり方をすぐに変える事はできません。

そんなありのままの自分を認めてあげるのです。

そして、辛い時には誰かに頼っていいということ、弱音をはくことを自分に許してあげる。

そう考えるだけで、本当に楽になることができます。

カウンセラーの優しいその言葉は、本当に心に響きました。

まるで真っ暗な闇の中に光が灯ったように感じたのです。

同時に、こんなに自分が我慢してきていたのかと気づかされる事にもつながりました。

(8)人間関係のルーツは両親との関係であることを学ぶ へ続く

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