カウンセリングの実際 ~幸せなパートナーシップへの道~(その8)

【連載ブログ】カウンセリングの実際 ~幸せなパートナーシップへの道~(その8)

<人間関係のルーツは両親との関係であることを学ぶ>

感情を感じるというアプローチと平行して行ったのは、「自分と両親との関係に今のパートナーや人間関係のルーツがある」ことを学び、気づくことでした。

自分と両親との関係には、今のパートナーや人間関係のルーツがあるといわれます。

小さな子どもにとっては、目の前にいる親が世界のすべてです。当然ながら、初めて形成する人間関係は、この親との関係になります。

この関係が、その人の言わば人間関係の物差しとなります。この親子関係の中で作られた心理的なパターンや対人関係のパターンがベースとなり、あらゆる対人関係の中で反映されていきます。

例えば
・親が厳しかった→上司など、目上の人を苦手と感じてしまう。
・兄弟と仲が良かった→仲間とうまくやれるようになる。
・姉妹の仲が悪かった→女友達を苦手に感じる。

こうしたことは、幼少期に作られるために、心の奥底に形成され、自分で自覚していなくとも、無意識に現実の人間関係に現れることが多くあります

この中の、男女関係について詳しくみてみましょう。

例えば、両親が喧嘩ばかりしている、あるいは、逆に本当の気持ちを隠して生活している仮面夫婦であったとします。

すると、子ども心に「夫婦とはうまくいかないものだ」「結婚しても辛いだけ」という思いを作り出します。

こうした思いは、「結婚したいけどできない」という場合の原因を作ることがあります。表面意識では「結婚したい」と思っていても、心の奥底では結婚に対する良いイメージがないために、結婚に対する恐れがあり、それが結婚に対する心理的なブロックとになってしまい、例えば、本当に好きな人が現れない、あるいは真逆に、不幸になるような相手を選んで結果的に傷ついて別れてしまう、というような状況を生み出していきます。

それでは、僕の場合はどうだったのでしょうか。

僕の実家は自営業を営んでおり、両親は共働きで忙しかったために、祖母が育ててくれた家庭でした。しかも、両親はかなり忙しく働いており、一緒にすごした記憶があまりありません。

それが当たり前だと思って育ってきたために、子ども時代を振り返った時、寂しかったという思いは表面的には持っていませんでした。

けれども、先に述べたように、両親がすべての子どもにとって、一緒にすごせないということは、寂しさや悲しさを生みます。それは幼心に「こんなに一緒にいてくれないのは、自分は両親に愛されてないんだ」という思いを生んでいきます。

この「愛されていない」思いは、「自分は愛される価値がない」、そんな価値のない自分に「愛される関係は築けない」という思いにつながっていきます。

幼少期であるだけに、記憶としては残っていなくとも、潜在意識の中に蓄積されていきます。

すると、成人して、表面的には気がついていなくとも、心の底にあるこの思いが、男女関係に現れます。

両親と子どもである自分との間に作った距離は、そのまま男女関係の距離に映し出されていきます。

ある程度の距離が離れていることが、自分にとって適当な距離だと思い込んでしまうのです。

カウンセラーが解説してくれた、この分析は、僕にとって頭をかち割られたような大きな衝撃でした。

始めは、カウンセラーの先入観だ、そんな単純な図式で人の心が表されるはずはない、と疑ってかかりました。また、わざわざ、両親との関係に今の状態を無理矢理結びつけているだけだ、と思いました。

もし、こうした思いが僕の心の中になければ、何の反応もしなかったでしょう。ふうんと聞いていただけのはずです。

ところが、頭でそう整理しても、心の中では整理がつきません。

本当に心の中で感じている事は、人は素直に反応してしまうのです。

カウンセリングを続けていた僕は、ここに至って初めて、感情を感じ、涙を流すという体験をしました。

先に少し触れました、幼い時の自分と向き合っていく「インナーチャイルドワーク」と言われるセラピーをしている時のことです。

自分の心の中には、本当に寂しそうに悲しんでいる小さな男の子がいることに気がつき、その気持ちを理解した時、涙が溢れてきたのです。

本当はこんなに寂しかったんだ。両親に愛されたかったのだ。なのに愛されてないと思っていたんだ。

そう、心の底から思えたのです。

涙が頬を伝わった時、「あ!今、自分は泣いているんだ!」と驚きました。
自分にも涙があるんだ。そんな当たり前のことに驚き、そのことにとても感激しました。
すると、心の中がすーっと軽くなり、そのことにもびっくりしている自分がいました。

潜在意識のレベルで我慢してきた感情が初めて解放された瞬間でした。

後に、奥さん自身もカウンセリングの勉強をして行く中で、同じような思いを持ったと語ってくれました。

彼女の両親も共働きで、性格が全く違う僕たち夫婦でしたが、この点は共通していたのです。

奥さんは当時を振り返ってこう言っています。

「私は表面的には気がついていなかったけど、心の底で自分には最愛のパートナーができるとは思っていなかった。だから、つきあって結婚できる相手がいるだけで十分満足だと思っていたから、距離があっても平気だったんじゃないかな」

(9)ブロックを取り除く:誤解を解く/許す(1) へ続く

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