心理学でいうところの「癒着」。
ある意味、あらゆる人間関係に影響していると言えるほど、私たちの心に大きな影響を与えているんですね。
今回の「使ってみよう!心理学の基礎知識」では、「癒着」を取り上げ、数回に分けてお届けしています。その第2回です。
◎『癒着を解くカギは「甘えたいのに甘えられない感情」にある』
前回は、「癒着の意味と、無自覚の『癒着』がある」というお話でした。
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自分では意識していない、気がつかない癒着って何なのでしょう。
その答えを知るカギは「甘えたいのに甘えられなかった感情」にあります。
例えば、小さい頃、こんな家庭で育ったり、今もそうだったりした場合。
・親が忙しくて、なかなか相手をしてもらえなかった。
・厳しい親だった。
・期待を大きくかけられていた。
・家を背負ってきた感じがする。
・幼少期に親とか家全体が大変な状況だった。
こうした環境で育つと、「子どもながらに『甘えられない』と思ってしまう」ことがあります。
もちろん、これは一例ですし、ケースバイケースですから、一概には言えません。
ただ、こうした環境や状況だと、子どもながらに親に迷惑をかけられない、とか、甘えを許されない、という思いを持つことがあるんですね。
いわゆる、「良い子」「優等生」をやってきた方の中には、そうしたタイプの方もみえます。
そうなると、「甘えたいのに甘えられない」、という思いを抱えたまま、大人になっていく場合があるのです。
こうした、抑圧された感情は、潜在意識に溜まり続けます。
心の中に抑えて、我慢しているものですから、「表に出たい!」と心の奥から刺激してくる感じにもなります。
そうすると、「甘えたい」という感情を抑え続けないと、出てきてしまうので、この「甘えたい」を感じないように、「親と距離を置く」というような行動に出ることもあるのです。
例えば、「甘えたい」という感情を抑えるために、親を嫌いになる、という方法を取るわけですね。
あるいは、親に対して「感情を感じない」という、心の距離を取る方法もあります。
いずれにせよ、表面的には、「親とは距離がある」と自他共に感じていることになるのです。
ところが、依然として、心の奥には「甘えたい」という感情が残っています。
そうすると、大人になってから、例えばこんな問題が起こったりするわけなんです。
・普段は自立的なのに、恋愛をするといつも相手に強く甘えてしまい、重いと言われる。
・職場や、恋愛で、頼りにしていた相手がそっけないと、強い怒りを感じてしまう。
「甘えたいのに甘えられない」という感情がたくさん残っているほど、誰かにそれをぶつけてしまいやすくなることもあります。
こうしたケースでは、その大元にある、「実は、親への甘えたいけど甘えられない感情」に気づき、それを整理したり、癒したりするアプローチをすることで、「誰かへの強い依存」が減る、ということもあります。
実際のカウンセリングの中では、イメージワークなどで、親に甘えられなかった思いを言葉に出して伝えてみる。
直接は、親には言えないことでも、イメージの中で言葉に出していくことで、心がすっきりしていく。
そんなアプローチをさせていただくこともあります。
親に甘えたいけど、甘えられない強い思い。
まるで、恋いこがれるような強い思いは、心の中でくすぶり続けています。
これは、心理的には、親と癒着している、ということなのです。
その3に続きます。次回もどうぞ、ご覧ください。
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