「こんな時の『男心』・『女心』がわからない!」【男心編】(2)

近くて遠い、遠くて近い「男と女」。そんな「男性心理」「女性心理」を夫婦カウンセラーの池尾昌紀・千里が、それぞれの立場で語る連載その2。今回のお題は「妊娠・出産・育児の時」です。


【今日のお題】
『妊娠、出産、子育ての時期の「男の言い分」「女の言い分」』

妻にほったらかしにされていると感じる夫の心理。

妊娠、出産、子育て。
夫婦の問題の原因を生みやすい時期とも言えます。
しかし実際は、この時期、夫婦の問題に取り組んでいる余裕などなく、

夫は、妻にほったらかされると感じる。
妻は、夫に助けてもらえないと感じる。

今回も、池尾昌紀と池尾千里の夫婦カウンセラーが、男性女性、それぞれの立場でその心理を書かせていただきます。

子どもができた時、というのは、夫婦にとっては大きな幸せの時期。
ところが、逆にこの時期に夫婦の危機もやってきやすいのです。

その理由は、たった一言で説明ができます。

「お互いに余裕がないから」

特に、出産後の女性は、赤ちゃんにかかりっきりになり、全く余裕がありません。
これが、初めての出産なら、尚更です。
自分の身体も、出産に伴って不安定になるし、不安にもなります。
一番は、赤ちゃんを育てる不安。

二人目、三人目となると、出産や育児に関しては不安は少なくなっていますが、今、子育て中の子どもが別にいるわけですから、二人分、三人分の子育てをしなければならないので、これまた大変です。

そうなると、夫にかまっていられなくなる、というのは、ある意味、仕方がないことなんですね。

ところが、夫の側からすると、これが理解できません。

誤解を怖れず、この際、はっきり言わせていただこうと思うのですが、男性にはこの「妊娠・出産・育児」の苦労がわかりません。

もちろん、何らかの事情で生まれた赤ちゃんを育児する男性もいるでしょうから、言い切るのはどうかと思います。

でも、そうした状況の男性でない限り、どれだけ育児に協力的な「イクメン」であっても、女性の本当の気持ちを完全に理解するのは不可能であると私は思います。

私はカウンセラーですが、男です。
子育てに苦労されている女性の方のお話をたくさん伺ってきましたし、サポートもさせていただいてきました。
だからこそ、痛感するのは、私自身も含め、男性には、妊娠・出産は間違いなく、そして、育児も関わりの大きさで差はあるにせよ、女性の苦労を共感はできても、感覚的に理解することは極めて難しいのです。

これがとても大切なポイントになります。

だからといって、女性のことをないがしろにしているわけではありません。
理解しようとして、思いやりをもって接する男性もたくさんいます。

けれど、わからないために、どうしていいのかわからず、そのために、結局のところ何もできないという男性もたくさんいます。

このことは、女性も、そして男性も、最初から理解するほうがいいと私は思うようになりました。

「男は子どもを産めないから、女の本当のところはわからないんだ」

この前提で、諦めるのではありません。

この前提で、だからこそ、夫婦でどうやってコミュニケーションを取って、どうやって子育てをしていくか、を話し合っていく。

そうすることが、一番、夫婦にとって子育てをしていくのに役に立つと実感しています。

さて、そういうわけで、男性は頭ではわかっているつもりだけど、女性の苦労がわからないので、出産後の妻が赤ちゃんや子どもにかかりっきりになることに、どんどん寂しさを感じていきます。

それだけならまだしも、男性には厄介な心理があるんですね。
前回も書かせていただきましたが、「責任感」というやつです。

これは無自覚の男性も結構いるのですが、子どもが産まれた、というのは、女性にとっても子育ての責任を大きく感じるところですが、男性にとっても、「ますます妻と子どもを守らねば」「こんな俺でも父と名乗っていいのか」「しっかりせねば!」という大きな「責任感」を背負います。

すると、このプレッシャーを感じながら、仕事をしたりしていくので、心に余裕がなくなってきます。

逆に、この「責任感」がモチベーションを上げる原動力になって、活き活きと仕事や毎日を充実して生きることにもつなげることができるのですが、基本的には「責任感」がつきまとっているのですね。

うまく回っていれば大丈夫ですが、うまく回らなくなると「責任感」と「寂しさ」が合わさって、どんどん「孤独感」を強めていってしまうこともあるのです。

そうすると、妻は子どもで手一杯ですから、夫はどこにも「つながり」を作ることができずに、どんどん苦しくなっていきます。

それが続くと「どうせ俺のことは、ほったらかしなんだ」と男性特有の「すねる」という心理に至ります。

男の私が言うのもなんですが、「すねた」後の男性ほど面倒くさいものはありません。

自分でもどうしようもないくらい、「すねて」しまうのです。

こうして、夫は、妻から気持ちが離れていくケースがあり、そのことで夫婦の危機がやってくる場合も出てくるのですね。

ここまでお読みいただき、どう感じられるでしょうか。
男の勝手な理屈だ、と思われるでしょうか。
女だって命がけで出産して、子育てに追われてるのに、ふざけるな!と怒りを感じるでしょうか。

それって当たり前ですよね。

でも、ちょっと考えていただきたいのです。

元々は「お互いに余裕がなかった」ことが原因なのだと。

そして、これを解決していくには、お互いの心理を知って、その前提でコミュニケーションを取る、ということにつきると思うのです。

愛し合う二人だからこそ、こうしたすれ違いが起こるとしたら、お互いの心理を知るだけでも、相手を理解しようとする気持ちが生まれ、解決する道が見えてくると、私は考えています。

このお話が、少しでもお役に立てれば幸いです。

* * *

<今日のお題の『女心』については、妻・池尾千里が書いています!>
『妊娠、出産、子育ての時期の「男の言い分」「女の言い分」』
夫に助けてもらえないと感じる妻の心理。
◇池尾千里のブログは>>>こちらへ!

さて、次回のお題のお知らせです。

【次回のお題】
『愛されることに、あぐらをかく「男性心理」「女性心理」』

彼女(妻)があぐらをかいているように見える時の「男性心理」。
<夫・池尾昌紀が担当します>
彼(夫)があぐらをかいているように見える時の「女性心理」。
<妻・池尾千里が担当します>
***
今後、こんなテーマを予定しています。
○家を継ぐ男性。嫁ぐ女性。
○セックスのお話し。

どうぞ、お楽しみに!

【6/7(土)名古屋心理学ワークショップ
『愛するということ・愛されるということ
~名古屋版・男と女の心理学 Part2~』】

講師:池尾昌紀・池尾千里
ゲストカウンセラー:小倉健太郎高見綾
日時:2014年6月7日(土)18:30~20:30
会場:名駅・ウインクあいち
交通:名古屋駅徒歩5分。ミッドランドスクエア奥。
料金:\3,240-(税込)
※当日飛び込み参加もOKですが、できるだけお申し込み頂けると助かります。
※参加条件:18歳以上の方。ただし、2歳未満のお子様に限り同伴可能です。
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