カウンセリングで伺うお話の中で、「離婚」「浮気」「セックスレス」「心のすれ違い」など、夫婦問題についてのご相談は、とても多くなっています。
こうした夫婦問題の解決に役立つヒントをお届けする連載、その12回目、
今回のテーマは「男性心理、女性心理を知る(その1)」です。
<前回までの記事>
こちらのページをご覧ください。「夫婦のラブ・クリニック<連載目次>」
私の妻(カウンセラー池尾千里)が、カウンセリングを学ぶ中で、印象的だったことのひとつとして、よく言っていたことがあります。
それは、こんな話でした。
「女性のコミュニケーションレベルが大学生だとしたら
男性のコミュニケーションレベルは幼稚園児である」
ここでのコミュニケーションとは、「感情のコミュニケーション」のことを指します。
いかに、男女で、感情を感じるスキルに開きがあるか、という例え話なんですね。
夫婦のすれ違いを作る原因として、
また、それを解決する視点として、
この話はとても大きなヒントになります。
男性は、幼い時から、「男は人前で泣くもんじゃない!」と育てられる傾向にあります。
親の教育方針がそうでなかったとしても、
最近の風潮が昔ほど、こうした男性像を求めなくなっていないとしても
草食系男子が増えていっても
まだまだ、根強く、この傾向は残っています。
一気に結論まで進んでしまうと、つまり、
男性は「感情を感じることが苦手」
なんですね。
また、どうしても「経済的に家族を支える」という思いや
「仕事で、結果を求められる、結果を出さなければならない」という点からも
「プロセスよりも、結果が大切」
という思考になりがちです。
ところが、逆に、女性は、「感情を感じるのが上手」と言われます。
そして、結果よりも、それに至るプロセスを楽しんだり感じたりすることができる。
この辺りの根拠も賛否両論についても、詳しくお話したいところなのですが、
先に進めなくなってしまうので…
ですので、一気にまとめます。
男性心理、女性心理の傾向として言われていること。
男性:感情を感じるのが苦手、結果が大事
女性:感情を感じるのが得意、プロセスが大事
もし、この傾向が正しいとしたら、夫婦のコミュニケーションがすれ違うのは
当然と言えるのではないでしょうか。
具体的にはこんなお話になります。
妻は、今日、職場で嫌なことがあった。
家に帰って夫に愚痴をいう。
妻にとっては、「私の気持ちをわかってほしい」だけなので
ただ、黙って愚痴を聞いてほしい。
ところが、夫は、「感情」に注目するのではなく、「結果」に注目するため、
それを「職場で困ったことが起こったのだから、その解決方法をアドバイスすることを求められている」と解釈します。
ですから、妻の話を聞いているうちに、
「君の気持ちはいいから、結論を出せる材料を早く話してくれ」
という気持ちになるのです。
これでは、すれ違いが起こるはずですよね。
これが重なると、
「君の話は、聞いても意味がない」という態度を夫が取るようになることもあります。
そんな夫の態度をされたら、妻は傷つきますよね。
でも、夫にはそんなつもりはなかったりします。
単に、夫は、「感情」に注目するのではなく、「結果」に注目しているだけだったとしたら。
ここにすれ違いのスタートがある場合があるんです。
妻にしてみれば、そんな夫の態度に、
夫は私のことを愛してないんだ、私のほうを向いてくれないんだ、と思うことだってあるでしょう。
すると、妻は夫に冷たい態度を取ったり、扱いが悪くなったりすることも。
夫にしてみたら、なぜ、妻にそんな態度を取られるのかわかりません。
子どもには愛情を向けるくせに、俺の扱いが悪い。
妻は、俺のことを愛してないんだ、俺のほうを向いてくれないんだ、と思うことだってあるでしょう。
長い夫婦生活で、このやり取りが積み重なってくると
相手が自分の話を聞いてくれない、自分のことをわかってくれないと思うようになり、
お互いに、コミュニケーションをあきらめるようになってきます。
まるで、相手が自分のことを嫌っている、そんな風にさえ思うこともあります。
でも、実際は、相手のことを嫌いになったのではないのです。
単に、すれ違いが起こっているだけなんですね。
この部分を理解できると
「パートナーは、私を嫌っているわけではないのかもしれない。」
「私は、パートナーを嫌っているわけではないのかもしれない。」
そう気づいていくことができます。
「私は夫に嫌われているわけではない」
この思いに気づくことができただけで、どれほどの救いになったかわからない。
そんな言葉をクライアントさんに言われたことは、少なくありません。
まずは、この男女の違いに注目して、二人の関係を整理していくところから初めてみましょう。
次回は、このお話の続き。
「女同士、男同士の付き合いを相手に期待するのは無理」というお話を書かせていただきたいと思います。
ところで・・・
私は、自分の育った環境から、男女平等でなければならない、という強い思いを持っていたので、昔から男女の区別をすることに、とても抵抗を感じていました。
ですから、カウンセリングを学び始めた時には、男性心理、女性心理、と判で押したように分けて考えることに抵抗があったのですが、何千件というカウンセリングを積み重ねてくると、どうしても、この考え方が必要になってくるところがある、ということを実感しています。
私と同じように抵抗がある方には、事実かどうかは別にして、そう考えたほうが整理がしやすいみたいだから、とりあえず、試してみてください、そんな風にお話しています。
実は、私がこんなに強く抵抗があったことも、逆に言えば、男性特有の心理があったから、という説明もできるのではないか、と感じています。
つまり、絶対、男女平等でなければならないと強く思い込まないと何ともならないほど、男性特有の心理に無意識に支配されている、ということではないかと思うのです。
この辺りのお話は、【シリーズ】「良妻賢母のススメ~そこから自由になり、新しいスタイルを手に入れる~」でも書かせていただきます。今後、そちらもお読みいただけたらと思います。詳しくは>>>こちらをご覧ください
あなたの問題解決のお手伝いができたら、幸いに思います。
(続く)
☆この記事の続きはコチラへ!>>>「男性心理・女性心理を知る(その2)」
<前回までの記事>
こちらのページをご覧ください。「夫婦のラブ・クリニック<連載目次>」