【連載ブログ】夫婦のラブ・クリニック~二人のすれ違い、どうしたらいいの?~(7)


カウンセリングで伺うお話の中で、「離婚」「浮気」「セックスレス」「心のすれ違い」など、夫婦問題についてのご相談は、とても多くなっています。

こうした夫婦問題の解決に役立つヒントをお届けする連載、その7回目をお届けします。



◎浮気問題が起こった時苦しむ「揺れ動く感情」

例えば、「夫(妻)に浮気をされた」というご相談を伺った時。

怒りや不安などの感情
これからどうするかという現実的な問題への対処

この、感情と思考で、心と頭はフル回転することになってしまいます。

特にこの感情について、日々時々、揺れ動く。
そのことが辛い場合が多いようです。

怒ったり、悲しくて泣いたり、不安になったり、一人で生きていく!と強気になったり。
同じ私の心なの?と思う程、コントロール不能に揺れ動くの感情。

それをどうしたら落ち着かせていくことができるのでしょう。

◎なぜ、心が揺れ動くの?

心が揺れ動くのは、この連載でしばらくお話させていただいたように、一番には、心にゆとりがなくなるからです。

浮気をされた側は、深く傷つきます。

最初はショック状態で、頭が真っ白になられる場合も多いようです。

段々落ち着いてくると、様々な感情が上がってきます。

怒り。
悲しみ。
情けなさ、悔しさなど、様々な感情が上がってきます。

場合によっては、自分でも驚くほど冷静で、淡々としていることもあります。
こうした時は、感情を麻痺させて、苦しみを感じないようにしている場合が多いようです。
(その3:「自分のことがわからないほど、心が一杯一杯の時」を参照ください。)

そこから、離婚を考える、あるいは、離婚が頭をよぎる。
すぐに離婚だ!と激しく気持ちが動いたり。
あるいは、離婚は無理だ、したくないと思いながらも、頭の中ではシミュレーションが始まったりします。

すると今度は現実的な問題が頭を駆け巡ります。

経済的に自分だけでやっていけるのか。
家のローンがある場合は、その心配。
別れた後、どこに住むのか。
実家があるなら、帰る事ができるのかどうか。

子どもがいる場合は、もっと大変です。
子どもをどちらが引き取るのか。
子どもの気持ちをどうしたらいいのか。
片親だけで、子どもの成長は大丈夫か。
子どもの養育費はどうなるのか。

ショックを受けた気持ちを整理することもままならないのに、現実的なことを考えはじめたら、頭も心もフル回転、考えること、悩むことが多過ぎて、目が回りそうになります。

目の前のことで手一杯になってしまうのは、自然なことですよね。

◎浮気の原因はどこにあるか?という疑問

心が一杯一杯だと、余裕がなくなって、そのことで感情が不安定になります。

わずかな感情でも、心が反応してしまうからなのですね。

そうした心の揺れを落ち着かせるためには、
ひとつには、この連載でこれまで書かせていただいたように、心に余裕を持たせることが、効果のある方法です。

もうひとつは、こうした感情がどこからくるのか、ということを整理して、気づくことです。

こうしたケースでは、様々な感情がわき起こってきます。
心が「どうしてこんなことになってしまったのだろう?」と、自分の心の中で自問自答してしまうのが、様々な感情を動かしていく原因のひとつではないかと思います。

感情の出方や感じ方、内容は人それぞれですが、「浮気」をきっかけにして、今まで感じることのなかった、たくさんの感情を感じていくことも多いのですね。

やはり感情として多いのは

「怒り」です。

これは、当然とも言えますよね。

浮気をされたというお話を、カウンセリングで伺う時、パートナーへの怒りで「絶対に許せない!」と言葉にされる方はとても多いです。

他にも、いろんな感情が出てきます。

「悲しみ」
「不安」
時には、「絶望」つまり「あきらめ」の気持ちも伴います。

感情の出方や感じ方、内容は人それぞれですが、こうした「怒り」「悲しみ」「不安」「絶望(あきらめ)」などの感情が、日替わりに、時には、時間によって出たり入ったり入れ替わったりする。
それが辛いのです。

◎今の問題は、最近の出来事だけでなく、過去にも原因があると思ってみましょう。

ところが、今目の前の感情だけでなく、「過去の感情」が加わってくることが、苦しみを大きくしていきます。

今、浮気をされたことへの怒りはもちろんですが、このことをきっかけに、昔、夫(妻)にされて傷ついた出来事や、不満、今までの苦労などが沸き上がってきて、過去の出来事についての怒りが出て来ることも、とても多いのです。

この「過去の出来事からくる感情」が、今の怒りや悲しみの上に「どーん!」とのってくることが、苦しみをとても大きくさせているのですね。

もし、今+過去=今の苦しい感情、という図式が成り立つならば、今の感情を感じて整理してあげるのはもちろんですが、過去の出来事やその時の感情を整理してあげないと、感情を整理することができません。

前の連載で「わからないこと」が心にとって苦しみを生む、というお話を書かせていただきました。

今、目の前にある状況が原因なだけではないのです。
あなたを苦しめている感情は。

過去の出来事、その時の感情について、誰かに話したり、整理したりすることで、苦しい感情の原因が、もっとはっきりしてきます。

そうした過去の出来事とは、

「子育て時代の出来事、感情、すれ違い」
「新婚時代の出来事、感情、すれ違い」
「大きな転機時(転職、引っ越し、家の建設など)の出来事、感情、すれ違い」

など、にあることが多いようです。

「浮気」だけでなく、「離婚」「セックスレス」「現在の心のすれ違い」の原因は、この時代のすれ違いにある場合が多く、これを整理することは、現在を変えていく大きなヒントになります。

特に、お子さんをお持ちのご夫婦のご相談を伺うと、この「子育て時代のすれ違い」は、本当に多い。

これは、いかに、「子育てが大変か」、という証明でもあると思います。

次回からは、具体的に、こうした過去のすれ違いについて書かせていただきたいと思います。

(続く)

☆次回は、「夫婦問題の原因:その1『子育て時代のすれ違い』」をお届けします。(6/29配信予定)

<前回までの記事>
こちらのページをご覧ください。「夫婦のラブ・クリニック<連載目次>」

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