今回のテーマは「夫の心が離れた理由」のひとつとして「妻の仕事」を取り上げてみたいと思います。
表面的には「仕事」であっても、実はそうではないことも多い、そんなお話です。
前回の記事で「離婚を切り出された時の対処法」について書かせていただきましたが、今回はその続き、としてもお読みいただけます。
☆前回の記事【夫婦のラブ・クリニック(14)】離婚を切り出された時、どうしたらいいの?
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夫の心が離れたと感じる時。
例えば、前回の記事のような、離婚を切り出された時などは、その理由がわからない場合もあります。
そこにはいろいろな理由が潜んでいることが多いのですが、夫が妻の仕事に対して不満がある、という場合があります。
◎仕事を応援してくれていた夫がなぜ不満を?
例えばこんなケース(内容は、池尾が創作したものです)。
35歳女性のご相談
結婚して10年。専業主婦で子どもが一人。
夫は真面目で誠実で優しいタイプ。
子どもの手が離れてきたので、私も何かやりはじめたいと思い、
趣味のアクセサリー作りを活かして、作品をネット販売しようと思った。
がんばって作品作りと、ネット販売の勉強やホームページ、ブログも始めた。
すると、少しずつ売上が上がってきて、お客さんも増えてきて、ファンもついてきた。
夫もそのことを喜んで、励まし、応援してくれていた。
そうした状況が数年続いていたある時、夫から離婚の話が。
離婚の理由を言わない夫に、幾度となく聞いていて、出てきた言葉が
「自分の仕事に熱中して、家庭をおろそかにしている」だった。
私の仕事を応援してくれていた夫が突然、どうして?
◎「仕事に最愛の妻を取られた!?」
こうしたケースは、例えば、「女性は仕事をせず家事に専念すべきだ」みたいな価値観にある場合もありますが、「仕事」ではないところに理由があるケースが多いように思います。
今回のケースでは、夫は最初は応援していた、ところがポイントです。
ところが、段々、妻の仕事が軌道に乗ってきたり、仕事が楽しい、と思うようになっていくと、夫は自分への愛情が薄れたような気持ちになる場合があります。
「仕事と自分とどっちが大切なんだろう」
と感じるわけですね。
「子どもじゃあるまいし、何それ!」という女性の言葉が聞こえてきそうです。
そりゃそうですよね。
これは、男性特有の「すねている」心理なんですね。
◎男性の中にある「役立たず」を怖れる心理
男性にとっては、仕事は妻や子どもを幸せにするためにやっているという意識を強く持っている傾向があります。
そうした場合、仕事=自分が役に立っている、ということになるんですね。
もう大昔の話になってしまいますが、まだ給与が振込でなかった頃は、給料日に夫が給料袋を持って帰ってくると、妻がお礼をいう、みたいな話。
なんとなくわかるでしょうか。
この感覚をいつも男性は求めているようなところがあります。
ところが、妻が仕事を始めて、それに熱中していくと、この図式が崩れた、と感じたりします。
ここで、夫が仕事が好きで情熱を持ってやっていればいいのですが、仕事を我慢してやっているような場合だと、それがより起こりやすい。
妻は情熱を持って楽しく仕事をしているのに、自分は仕事を楽しんでやれていない。
妻からの関心が薄れていくと、経済的な支えになっている気持ちも薄れ、また、妻と違って仕事を楽しめない自分には、価値がないような気持ちになる。
「男性を殺すのにナイフはいらない、ただ「役立たず」と言えばいい」
これは私が考えたセリフですが、男性にとっては「役立たず」の一言が一番傷つきます。
そんな気持ちになっている場合があるのですね。
どこをどう考えても夫のわがまま、夫が子どもすぎる!と思われるかもしれません。
男性である私自身もそう思います。
ただ、そこには単に夫の勝手な言い分、だけで終わらないところもある場合があります。
でも、お互いのコミュニケーションが取れていれば、こうしたことは起こりにくくなります。
どこかで夫婦がお互いに相手の愛情にあぐらをかいていたのかもしれない。
カウンセリングで、こうしたご相談を伺っていくと、そんな話に行き着くことも多いのです。
(次回に続きます)
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