【連載ブログ】夫婦のラブ・クリニック~二人のすれ違い、どうしたらいいの?~(11)

カウンセリングで伺うお話の中で、「離婚」「浮気」「セックスレス」「心のすれ違い」など、夫婦問題についてのご相談は、とても多くなっています。

こうした夫婦問題の解決に役立つヒントをお届けする連載、その11回目をお届けします。



<前回までの記事>
こちらのページをご覧ください。「夫婦のラブ・クリニック<連載目次>」

夫婦問題を解決するヒント。今回のお話は「相手を責める気持ちより、自分を責める気持ちに苦しんでいることを知る」です。

◎一番の苦しみは「自己攻撃」であることに気づいてみましょう。

例えば、夫に浮気をされた、というカウンセリングでお話を伺う場合。

悪いのは夫、ですよね。
「そのことを夫が、深く反省して謝っているけど、どうしても許せない。」

そうした場合ならまだしも、(といっても許されるわけではないですが)

「夫は開き直って謝ろうともしない」

そんな状況だったら、周りの友達とか、親などに相談できる場合は、
みんながあなたに「あいつが悪い!」といい、あなたの味方になってくれることが多いです。

ところが、どんなに相手が悪いと自分でも思うし、周りの人も言ってくれる状況であっても、
一番の苦しみは「自己攻撃」、つまり、「自分が悪いと責めてしまう感情」であることが
本当に多いのです。

もちろん、浮気なんてされたら、そのことがものすごく大きなショックだし
深く深く傷つきます。
その事実を知った時に「頭が真っ白になった」と表現される方が多いのも当然ですよね。

相手への怒りも、恨みつらみも、許せない思い、そして深い悲しみ。
こうした感情がたくさんでてきます。

ところが、そうであったとしても、心理的にみると

「相手を責める気持ち」

よりも

「自分を責める気持ち」

のほうが大きいようなのです。

もし、そうだとしたら、相手を責める気持ちだけに気づくだけでは、
苦しみの元がなくならないことになります。

ですから、あえて思っていただきたいのです。

「私の苦しみは、もしかしたら、相手を責める気持ちより、
自分を責める気持ちのほうが大きくて、それに苦しんでいるのかもしれない」

◎なぜ、相手より自分を責めてしまうの?

どうして相手より自分を責めてしまうのでしょう。
状況的に相手が確実に悪いとしても。

ひとつは、「思い当たる節がある」からです。
浮気等のように、ひどいことをされた時、怒りや悲しみの感情と同時に
「過去の私の言動が原因なのではないか」という思いが上がってくることが多いんですね。

その「思い当たる節」というのが、前回の連載で書かせていただいていた
結婚してからの、折々の二人の出来事、にある場合も多いんですね。
>>>「その1『子育て時代のすれ違い』
>>>「その2『新婚時代のすれ違い』
>>>「その3『大きな転機(転職、引っ越し、家の購入など)の時のすれ違い』

過去の二人の間に起こった、許せない思い、傷ついた体験、
あるいは、知らず知らずのうちに蓄積された我慢。
今までの積み重ねによって、心が離れていた二人。

こうした過去が、「私のあの時の言葉が、態度が悪かったのではないか」との思いを抱かせます。
この思いは意識できる場合もありますが、全く気がつけない場合もあります。
気がつけないと、無意識の中でずっとくすぶり続けてしまうので、「もやもや・イライラ」が解消されないのですね。

このことに気づいて、整理していくことが、まず大切になってきます。

◎もともと持っている「私は愛されない」という思い

二つ目は、パートナーとは関係ないところで、自分自身がもともと持っている
「私は愛されない」という思いからくるものです。

これは、生まれ育った家族にルーツがある場合も多いのですが、
「とても厳しく育った」
「親がほめてくれなかった」
「親が忙しくて愛情をもらえなかった」

などの感情から、「私はどうせ誰にも愛されないんだ」という無意識に作られた感覚のことです。

こうした感情を心理学では「無価値感」と呼びますが、
無価値観があると、「すべて私が悪いんだ」と、いろんな出来事を自分自身のせいにしてしまいやすくなります。

カウンセリングを通じて、パートナーとの関係性を整理していく過程で、この「無価値感」に気づき、癒していくという場合も多いのですね。

もし、パートナーとの関係性だけでなく、いろんな場面で「つい、私が悪いと思いがち」な場合は、
こうした心の中にある「無価値感」を整理していくことで、人生そのものを変える転機になる
こともしばしばあります。

浮気や離婚や別れの問題でパートナーと向き合い、その過程で自分の心と向き合っていくことになり、それを乗り越えたとき。

「後で振り返ってみたら、あの大きな問題は、自分を変える大きなチャンスだった」

そう言われるクライアントさんは、本当に多いです。

「ピンチはチャンス」といいます。

ご相談に来て下さった時は、そんな言葉で簡単に片付けられるほど、今の状況は余裕がない場合がほとんどですが、納得できなくても「そういうこともあるらしい」と思ってみるだけで、心が楽になる場合もあるのです。

◎あなたの心は「優しさ」と「愛」でできている。

こうした「自分を責める気持ち」というのは、逆に、心が「優しさ」や「愛」でできている証拠と見る事ができます。

だって、おかしいと思いませんか?

相手が100%悪いのなら、相手を責めるだけでいいはずなんです。
なのに、どうして、自分を責めてしまうんでしょう。

これって、あなたの心が優しいから。愛に満ちているから、なんですね。

相手を愛している、思いやっている気持ちがあるから、
自分を責めるんです。

もし、あなたが冷たい心の持ち主なら、相手が悪い、以外に何も思わないはず。

納得できなかったり、こんなにも悩み苦しんでいるのは、
そこに「何か」があるからなんです。

自分の心と向き合って、整理していく作業は、ネガティブなものを見つけていくのではありません。
自分の心の本当の価値、魅力、才能を見つけていく作業なんです。

夫婦問題を解決していくカギは、ここにあります。

自分の心の価値を見ること。
相手の心の価値を見ること。

そのことによって、ようやく、相手の愛と自分の愛に気づく事ができます。

この思いが、困難な問題を乗り越えていく力になるのです。

あなたの問題解決のお手伝いができたら、幸いに思います。
(続く)

☆次回は、「男性心理・女性心理を学ぶ」をお届けする予定です。

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